【第21話】付き添いしないといけませんか
入院のお話になると、「お祖父さん(お祖母さん)を入院させたら、付き添いしなければいけませんか?」とお尋ねになる家族がよくおられます。誰かが入院することで家族は身体的にも経済的にも少なからず負担を強いられる訳ですが、これを軽減するために健康保険法が改正され、来年三月までに付き添い看護が廃止されることになりました。つまり病棟での看護に、家族の介護力が求められず、また患者さんや家族と個人的に契約した付き添い婦は認められないという看護体制に移行しなければなりません。そのためには、看護職員を増員するなどの措置で対処しなければならず、病院が付き添い婦を雇用することは認められていますが、経済的に困難であり、病院の完全看護体制の確立が進みません。その結果、これ以上改善の望みのない慢性疾患の患者さんは、退院帰宅を余儀なくされていきます。このような形でも、在宅医療がすすめられることになります。在宅での家族の介護力が求められることになり、家族の負担は更に増加することになります。県内に診療所は増えても、入院ベットを持つ診療所は減っています。入院給食の有料化と相まって、入院看護を受けることが難しくなっています。
【第22話】入院ベットが空いている
「お陰様でうちのお祖父さん、この頃少し調子がいいみたいですが、家の仕事が忙しくて、もう少し入院を続けられませんか?」とお尋ねになるご家族が以前よくおられました。病気は軽快したのに家庭のいろいろな事情で退院帰宅ができずに入院を続ける「社会的入院」の患者さんがよくいらっしゃいました。 また、「うちのお祖父さん、 この頃少し呆けたみたいで入院してなんとかなりませんか?」とお尋ねになるご家族が以前よくおられました。こういう患者さんは、あてもなく歩き回るなどの問題があって、家族の方々も困ってしまい、入院の相談にみえることがよくありました。このようにして、病院のベットは満床になり、どのようにして退院してもらおうかと検討するのも職員の仕事のひとつでした。ところが、最近では老健施設や特養施設などがたくさん開設され、病院に入院されていた方々はそれぞれの施設へ入所されるようになりました。その結果本来入院すべき急性疾患の患者さんだけではベットが空いてしまい、経営が大変です。本来病院は治療するところであったのですが、これからは介護するところへと転換をはかっていかないと、病院は生き残れないと言われています。
田子町広報誌「たっこ」【 編集後記 】
平成7年8月31日 町立田子病院 院長 小松修の退職に伴い、当連載は終了いたしました。