ここで開業医の短所を挙げてみます。
【短所の1】全て自分一人で診療し、結果の責任を全て一人で負うということです。経営に関しても同様です。相談する相手が居ません。
【短所の2】自分の代わりが居ないことです。自分が病気をしたら、立ち所に診療が止まり、職員の生活から、門前薬局の経営にまで影響します。患者さんより具合が悪くても休めません。自分の健康診断で異常が出ても自分自身の検査や治療が困難です。
【短所の3】新しい医学的知識や経験が得難いことです。
【短所の4】纏まった休みが取れないことです。3ヶ月前から休診予定の張り紙を出しても、当日患者さんが来ます。後で「この前折角来たのに空振りした」と言われます。
【短所の5】後継者が居ないということです。自分で後継者を探すか育てるかしないと自分一代で終わりで、折角の医院も患者さんも放り出さねばならないのです。私の場合は、階上町の地域医療のために、後継医師を確保することは私の義務だと感じております。
時間がありません。次に開業医の長所を列挙いたしますと、
【長所の1】自分の希望する医療ができること。
【長所の2】努力次第で収入アップが可能なこと。
【長所の3】「当直なし」にできること。
【長所の4】地域に直結していて、家族ごと診察できること。
【長所の5】ひとりの患者さんと長く付き合えること。
【長所の6】時間が自由になる。
【長所の7】定年がない、などです。
以上、取り留めがなくなって参りましたので、結論を繰り返して終わりに致します。
【結論の1】勤務医であるか開業医であるか、それは医師を志した時の目的によって決まる結果だ、ということ。
【結論の2】「開業医もかつては勤務医だった」ということ。
【結論の3】勤務医・開業医それぞれに長所・短所があり、それぞれの立場に適材適所の先生方がおられることで病診連携が可能である、ということでしょう。
ここで最後に提案があります。「研修医、勤務医、開業医の先生方が家族を連れて参加しザックバランに交流できるような会」があれば、愉しく有意義で役に立つものと思います。この交流会に参加すれば、「生涯教育認定講座5単位」を貰えるというのは如何でしょうか?
最後になりますが、病診連携を例えて言えば、フットボールの試合に似ているかと思います。医療チームが一丸となって走り、襲ってくる病気をかいくぐりながら、患者さんというボールをあっちへこっちへパスして渡しながら、ゴールへ届けてタッチダウンすること(天寿を全うしてもらうこと)、そんなチームプレイに似ているかと思います。
ご静聴下さいまして、有り難うございました。